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重症心不全治療

重症心不全とは

心不全

さまざまな原因で心臓のポンプ機能が低下し、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。

重症心不全

心臓のポンプ機能低下が極めて高度で、さまざまな治療を行っても十分な機能の回復が得られない状態です(ステージD)。

重症心不全治療では、さまざまな臓器障害を来す前の適切な時期に適切な治療の介入を始めることが非常に重要です。久留米大学では、心臓血管内科医、心臓血管外科医、看護師、理学療法士などの多職種から構成される心不全支援チーム(HST)が、重症心不全の患者さんの診療にチームで取り組み、適切な時期に適切な治療を受けられるように協働体制を構築しています。

植込み型補助人工心臓(VAD:バド)とは

植込型補助人工心臓(VAD:バド)とは、内科的な治療の限界を超えた重症心不全に対する機械的な補助方法です。心臓のポンプ機能そのものを代行して、全身に血液を循環させます。植込型補助人工心臓(VAD:バド)は、血液を送るポンプなど機械の大部分を体内に植え込み、バッテリーからの電力、コントローラーからの指令を体内のポンプ供給するドライブラインが腹部の皮膚から体外に露出して、体外のバッテリー、コントローラーと接続されます。条件が整えば、外来通院、就労就学も可能になる人工心臓です。日本では心臓移植の適応がある患者さんの心臓移植待機中に主に使用されますが、2021年から植込み型補助人工心臓(VAD:バド)と生涯を過ごす、長期在宅医療のための永久植え込み治療(DT:デスティネーションテラピー)としての使用が開始されています。当院はDT実施施設ではありませんが(2024年4月時点)、地域における重症心不全治療の拠点としてその役割を担うため、DT実施施設認定への取り組みを継続しています。

当科における植込み型補助人工心臓(VAD:バド)の実績

当科では2013年から植込み型補助人工心臓(VAD:バド)の治療を開始し、これまで7名の患者さんに植え込みを行いました。2022〜2023年には3名の患者さんが心臓移植に到達され、現在、1名の患者さんが植え込み後に心臓移植待機中です。
植込型補助人工心臓(VAD:バド)の手術後には、感染症や脳梗塞、出血といった大きな合併症が問題となるため、植込型補助人工心臓(VAD:バド)と上手に過ごしていくためのさまざまなケアが必要になります。当科での植込型補助人工心臓(VAD:バド)の植え込み実績は決して多いものではありませんが、心不全支援チーム(HST)をベースとした多職種によるサポート体制が充実しているため、個々の患者さんの家庭環境などに応じたきめの細かい診療が提供できます。最長で5年2ヶ月の植込型補助人工心臓(VAD:バド)による補助の後、心臓移植に到達された患者さんもいます。

その他の機械的補助循環

機械的補助循環は、低下した心臓のポンプ機能を機械で補助し、その間に心不全の治療を行い、できるだけ心臓の機能を回復させる目的でも使用されます。短期間での回復が見込まれる場合には、これまで使用されてきた大動脈内バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助装置(PCPS、ECMO)といった補助循環を用いて治療を行います。また、最近は従来の薬物治療や補助循環治療が奏功しない心原性ショックに対して、循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(Impella:インペラ)による治療も積極的に取り組んでいます。

近年の機械的補助循環装置の著しい進歩に伴い、これまでは手術困難、回復困難と考えられてきた心臓機能の低下した心疾患の治療も行えるようになってきました。機械的補助循環治療に精通したスタッフがどのような治療法が最適なのか?について検討いたします。
どのような難しい心臓の状態でもお役に立てることもあるかと思いますので、ぜひ、下記までご相談ください。

MICS(ミックス)に関するお問い合わせ
担当医心臓血管外科 講師 高木数実(VAD実施医)、教授 田山栄基
外来久留米大学病院循環器病センター 毎週火曜日
Tel0942-31-7567
E-mailkazu1013@kurume-u.ac.jp