MENU

MICS

MICS(ミックス)とは

これまで胸部正中を大きく開けて(胸骨正中切開)行っていた心臓手術を小さな切開で行う心臓手術です。主に右腋〜乳房の下を6cm前後切開して、肋骨の間から心臓手術を行います。当科では2015年よりMICSへの取り組みをはじめ徐々に適応となる手術を拡大し、累計MICS実施手術数は2023年に100例を越えました。

通常の開心術後創部
MICS術後創部

MICS(ミックス)の対象となる病気と手術

  • 僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術・置換術
  • 僧帽弁狭窄症に対する僧帽弁置換術
  • 大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症に対する大動脈弁置換術
  • 三尖弁閉鎖不全症に対する三尖弁形成術
  • 心房細動に対する不整脈手術、左心耳閉鎖術
  • 心房中隔欠損症に対する閉鎖術
  • 心臓腫瘍(粘液腫)、心臓内異物(血栓など)に対する摘出術

当科におけるMICS(ミックス)の実績

当科では2015年よりMICSへの取り組みを始め、徐々に適応となる病気と手術を拡大し、累計MICS実施手術数は2023年に100例を越えました。

MICS(ミックス)のメリット

胸骨正中切開を回避することによって以下の効果が明らかになっています。

  • 出血量が少なくなる
  • 傷の感染のリスクが減る
  • 手術後の安静制限がなく、早期の退院、社会復帰が可能
  • 手術創が目立たず美容面で優れる。特に女性には満足度が高い手術

また、当科のこれまでの研究では心臓手術後の心機能をより生理的に保つ効果も明らかになっています。

MICS(ミックス)のデメリット

MICS(ミックス)に向かない方

  • 心機能が低下している
  • 呼吸機能が低下している
  • 全身の動脈硬化が著しい
  • 体型、体格が小さな切開に不向きである

いろいろなメリットを有するMICS(ミックス)手術ですが、小さな切開で行う心臓手術ですので、手術時間が長くなる、血管損傷(0.5%)、脳梗塞、肺障害(1%)などの可能性があるといったデメリットもあります。

すべての方にMICS(ミックス)手術が適しているわけではありません。無理なく安全に手術を行うため、患者さん一人一人の背景に応じてMICS(ミックス)手術のメリットとデメリットをハートチームで十分に検討し、その適応を決定する必要があります。
MICS(ミックス)手術を安全に実施するため、2023年から日本低侵襲心臓手術学会(J-MICS)による認定医・指導医制度が始まりました。当科には第1回認定制度による低侵襲心臓手術認定医が所属しており、安全にMICS(ミックス)手術を行うための体制を整えています。

MICS(ミックス)に関するお問い合わせ
担当医心臓血管外科 講師 高木数実(低侵襲心臓手術認定医)、教授 田山栄基
外来久留米大学病院循環器病センター 毎週火曜日
Tel0942-31-7567
E-mailkazu1013@kurume-u.ac.jp